ASPってなんでしょう

ECサイトについて調べていた時に「自社サイト型」の例としてゼロからシステムを構築する「フルスクラッチ」を挙げましたが、他にももう少し費用や手間を抑えて自社サイト型のECサイトを作る方法があります。そこで出てくるのが「ASP型」のECサイトです。
ではASPとはどういう意味なのでしょうか?

ASP(Application Service Provider)とは、インターネット上でソフトフェアやシステムの稼働環境を提供する事業者から来ています。旧来のソフトウェアはインターネットからプログラムをダウンロードし、利用者のPCにインストールしなければ使うことができませんでした。筋トレのために自宅にマシンを運び込んでジムを作らなければいけないという訳ですね。かけられる初期費用や使うことができるスペース(PCのデータ容量)などによって設備には制限があります。また、設置するマシンは予算やスペースが許す限り自分に合わせて最適化することができますが、メンテナンスや設備が老朽化してきた時の修繕や買い替えなどは自分でやらなければいけません。

一方ASPは事業者の経営するジムを利用するという感覚になります。メンテナンスや設備の更新は事業者側で行うので、利用者は必要なマシンを使うだけとなります。利用するマシンはジムに置いてあるものなので自分の好みのものを選ぶことは出来ませんが、トレーニングという目的には十分です。利用者は定期的な利用料を支払い、事業者が用意したマシンやスタジオ、シャワールームを気軽に使うことができます。

個人向けのASPの代表的な例としてはGmailが挙げられます。
インターネット環境とWEBブラウザがあればログインするだけでメールの送受信が出来ますし、Gmailのサーバにデータが保管されるので、利用者のPCのメモリを圧迫することもありません。Gmailの普及によって自分のPCにインストールするタイプのメール用ソフトウェアはもう利用していないという人も多いのではないでしょうか。

そしてECサイト向けにも商品管理や決済機能などがパッケージされたASPが提供されています。
新しい機能の開発やセキュリティアップデート、サーバの保守管理も事業者側で行われるため、専門的な知識のない人でも簡単に扱うことができます。利用する事業者やプランなどによって費用や機能などの違いはありますが、資金やかけられるリソースが限られる中小の事業者でも安価かつ簡単にECサイトを立ち上げることができるのは大きなメリットですね。中には無料で開始できるサービスもあるため、まず「試してみる」ことが出来るのは嬉しいところです。

小さなお店からまずは始めてみましょう

このように大変便利で身軽なASPですが、不自由な面もあります。
デザインや機能などは提供している事業者で決められたものになりますので、自社の独自性を出すことは難しいです。入金管理や顧客情報など、社内での受注管理システムや顧客データベースなどにデータを取り込みたくても連携は難しいかもしれません。
ただ、機能が限られるとはいえ様々な販売形態や商材に特化したASPカートが数多くリリースされていますので、よく比較検討して自社にあったASPカートを選ぶことが大切です。

取引件数や金額が小さい始めのうちは手軽なASPやモール型ECサイトを導入し、顧客管理や受注・会計管理などに不自由を感じるほど取引が増えてきた時にはECサイトのステップアップを考えてもいいでしょう。

ECパッケージってなんでしょう

自社サイト型ECサイトの選択肢として、他に「ECパッケージ」があります。
これはシステム等をゼロから開発する「フルスクラッチ」と違い、ECサイトに必要な機能が既にワンセットとなって提供されるものとなります。ファッションで言えば、「フルスクラッチ」が採寸や生地選び、デザインまで全て自分で選んで作り上げる「オーダーメイド」、「ECパッケージ」が基本的な型は決まっていて色や装飾などを自分で選ぶ「セミオーダー」のようなイメージですね。

費用はASPに比べて大きく、またデザインや拡張性など自由な部分が多くなる分立ち上げまでの時間もかかってしまいますが、企画・開発から行うフルスクラッチに比べれば費用・時間共に抑えられます。
ただ、費用が抑えられるといってもあくまでもフルスクラッチに比べての話であり、またサーバーの運用管理も必要になってくるため、資金や人材に余裕のある大企業向けのサービスとなります。
小さなASPショッピングカートから始めて、いつかはECパッケージやフルスクラッチを導入できるようになりたいですね。